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日本の飲食店や旅館で当たり前のように提供される「おしぼり」。手を拭くだけの布と思われがちですが、その背景には日本独自の衛生観念とおもてなしの精神が息づいています。今回は、そんなおしぼりの歴史を紐解いてみましょう。
おしぼりの起源には諸説ありますが、最も古い記録は江戸時代に遡ります。
茶屋や旅籠での提供
旅人が疲れた手や顔を拭くために、温かい布を差し出す習慣がありました。これは単なる清潔のためだけでなく、旅人への労いの気持ちが込められていたとされています。
武家社会での礼儀
客人を迎える際に手を清める布を渡すことが、礼儀作法の一環として定着していたとも言われています。
明治以降、衛生意識の高まりとともに、おしぼりはより広く使われるようになります。
昭和期の飲食店文化
戦後の高度経済成長期には、料亭や寿司店などでおしぼりが定番化。冷たいものや温かいものを季節に応じて提供するスタイルが確立されました。
レンタルおしぼり業の誕生
1970年代には、業務用おしぼりを専門に扱うレンタル業者が登場。衛生管理が徹底され、使い捨てタイプも普及していきます。
現在では、日本国内だけでなく、海外の和食店や高級レストランでも「OSHIBORI」として認知されるようになりました。
紙おしぼりの普及
環境配慮やコスト面から、紙製のおしぼりが普及されつつあります。
SDGsとの関係
再利用可能な布おしぼりや、環境に優しい素材の開発も進んでおり、持続可能なおもてなしの象徴として再評価されています。
日本発のおしぼり文化は、今や世界でも注目される“おもてなし”の象徴となりました。その歴史を振り返ることで、私たちが大切にしてきた価値が、これからも国境を越えて広がっていく可能性を感じます。